KUNO

サンサンポー物語

たびたび妖精に逢えたころのむかし
南の小さな島 太陽の休むところ
サンサンポーでのお話です

ザボ~~ん シュわ シュわ シュわ~~
  ザボ~~ん シュわ シュわ シュわ~~ 

サンサンポーには うれしいことがあると
みんなが集まる広場
ハッハドンドンがありました

そこには ニョ木という大木が一本
何百年も前から
島の人たちを見守るように立っています

お祭りの近づいたある朝 コンキンという若者がやってきました
しばらく ボ~っと海を見ながら 
何か考えごとをしているようでした

ニョ木が心配になって 聞いてみました

ニョ木
「ず~っと海を見ているけど どうしたんだね」

コンキン
「・・・色々考えてねむれないんだ・・」

ニョ木
「好きな人のこと」

コンキン
「そう 言えないんだ 本当に好きだから 返事が怖いんだ…」

ショボーーーン

ニョ木
「私がまだどんぐりの木だったころ
ここに何かうれしいことがあると
みんなが集まるようになった 
みんな笑顔で楽しそうだった
何度も何度も笑顔が集まって 
ある時不思議なことが起きた
みんなの笑顔から 
笑顔の精ニンニがこぼれるように生まれた
いっぱい生まれた 
ニンニに囲まれて幸せだった
気がつくと 私の体は変化して 
ニョ木になっていた
おいしいお酒ができる 
ニョ木の実がとれるだろ
笑顔の不思議な力だ
笑顔が集まると ニンニも楽しそうに
歯車のように回りはじめたんだ
そして 何か幸せなことを
起こしてくれるようになった
笑顔になろう 大丈夫 一緒に考えよう」

コンキン
ニコッ

ニョ木
「そうだ 今度のお祭りの前に 
何かプレゼントしてみたら
想いが伝わるようなおまじないかけて」

コンキン
「プレゼントはイイかも…いいよ プレゼントにしよう」
ニコッ ニコッ

ニョ木
「ほら ニンニが回りはじめた
プレゼントのことなら ニョコに相談だ! 
そこら辺にいるよ」

コンキン
「ニョコ~~~~」

ニョコ
ポヨ~~~ン!ポョ~~~~ン!
「聞いちゃったよ 
ごめんね」

コンキン
「僕の想いが伝わるような プレゼント
できないかな」

ニョ木
「僕たちも ニンニのおかげで 
不思議なものが作れるようになったんだ
昔はキノコで じ~~と じ~~~と 
ニョ木の穴の中
満月の夜 ポコンと 飛び出して 
ニョコになったんだ
体はゴムのよう 弾みながらどこにでも 
行けるし 指は7本
幸せの粉のたまるポケットもあるんだ 
大丈夫 作ることならまかせておいて
幸せの粉 キララを振りかけて作るから 
コンキンの想いは必ず伝わるよ」

ニョコ
「彼女のこと もうちょっと教えて」 
ポヨン  ポヨン

コンキンは話しはじめました…
子供のころからよく遊んだこと 
いつも励ましてくれること
彼女が風邪をひいて元気がなかったとき すごく心配したこと
明るくゆかいな人だから 
みんなからも好かれていること…

ニョコ
「彼女明るく ゆかいな人 
どんなのいいか テンテンテン 
キレイ カッコイイ 
ンートンート 
考えよう 
コンキンの 想いあわせて考えよう
ゴールドがいいな ハートの石入れて
こんなピカピカいいのかも 
首飾りなんかどうだろう
恋がかなう宝石ピンクトルマリン入れて」

コンキン
「彼女ピンク色好きだし ピンクトルマリンいいな」

ニョコ
「じゃ 決まりだね 任せておいて」

ニョコ
「明日の朝にはできているから
また来てね」

ニョコ
「さぁ 忙しくなってきたぞ
ゴールドに火をあてて 
プーボ プーボ とけてきた
ジュッと冷やして 固まった
たたいて トンカチ トンカチ 
こしらえよう
ゴリゴリゴリ ちょっと削り 
プーボー プーボー くっつけて
こわれないで つけやすくて
せいいっぱいに 考えよう
コシコシ 光らせて
ダンダンダン できてきた 
でも もうちょっといいものできるはず
ンートンート ニンニンニン 
精いっぱいで ニンニンニン」

なみだが ポトン ポトン
むねポケットに

「もうちょっと コシコシコシ 
でもまだだめだ 
一生懸命に ニンニンニン」
なみだがかわいて 幸せの粉 キララに

「おなかペコペコ~~!」

ニョコは一生懸命作ったあとに 
ニョ木に抱きつき 
樹液を吸うのが楽しみでした
ポヨ~ン ペタッ!!  
チュゥ~~~~~~~

「コンキンと彼女 
幸せになりますように~~」

「おやすみなさい」 スー スー

次の日 コンキンは
でき上がった首飾りを見て 
うれしくて たまりませんでした
そして 勇気がわいてきて 
想いを 伝えました
彼女は うれしくて キララのような 
きれいな涙をこぼしました

つづく

“幸せのジュエリーを作る妖精が棲むお店”
そんなケイウノのコンセプトは
創業者である久野が綴った物語から
はじまりました。

40周年を記念し、その一部を公開します。

店内を彩る絵画や
遊び心溢れるオブジェにも
ちりばめられている、ちょっと不思議な世界。

ぜひ、お楽しみください。