ジュエリーアドバイザーとして日々店頭におりますと、たくさんの方にお会いします。
以前、東京の自由が丘店に1組のカップルがいらっしゃいました。
エンゲージリングを探している、とのこと。
こういったお店に来るのは初めてだと伺い、指輪を贈る意味やダイヤモンドの選び方などのご紹介をしました。
おふたりのお話も伺っているうりに「実は…」と男性が。今は遠距離恋愛中で、ゆくゆくは一緒になりたいと考えているから、その証に指輪を贈ろうと思ったんです、と。
男性が福岡、女性は東京にお住まいというおふたり。
男性の想いに私も感動しました。
唯一無二のものを一緒にお探ししたく、その日はたくさんのダイヤモンドをご覧いただきました。
結果、お選びになられた候補の中でも一際輝きの強いダイヤモンド。
遠い地、ふたりを導く星のような存在になりますように、と想いがこめられたものでした。指輪のデザインもダイヤモンドが一番美しく輝くように。
その一年後、ついにご入籍。
ご結婚をきっかけに女性は福岡へとお引越しされました。
やっとおふたりが一緒に暮らせるのだと思うと、自分のことのように嬉しく思いましたが、もうおふたりにお会いできないことは少しさびしく思いました。
その後おふたりから福岡店でマリッジリングをお作りになったというご連絡をいただきました。
女性用はエンゲージリングと重ね付けができるようにデザインしたということも伺って、お話も弾みました。
それから数年経った夏の日、自由が丘にご来店予約が入りました。
…見覚えのあるお名前。
まさか、と思っていたら福岡にお住まいのはずのおふたりでした。
本当に驚きました。
しかも女性の腕には赤ちゃんが。
目元が女性に良く似た、可愛らしい女の子でした。
この子が生まれてもうすぐ一年なので、記念のベビーリングを作りにきました、と男性がおっしゃいました。
「マリッジリングは福岡店で作ってしまったけれど、記念品は絶対島さんに担当していただきたかったんです。」
そのためにわざわざ福岡から東京に。
お言葉をいただいた時は涙が流れそうになってしまいました。
数年前に担当させて頂いたおふたりがご夫婦になられ、その先の絆がお子様へと延び広がっていくお手伝いが出来ることが本当に光栄でした。
おふたりからは未だにお手紙をいただきます。
お子様が次の3月に幼稚園を卒園されるそうで、ご卒園式にエンゲージリングとマリッジリングを重ね付けしてご列席することを楽しみにしていらっしゃるそうです。
おふたりのエンゲージリングから始まったご家族の物語を、今もお伺いできることが本当に嬉しいです。
アドバイザーとしてこれからもいろいろな方のお話を伺い、未来へ繋がるお手伝いをすることが楽しみです。
～ケイウノ オーダーメイドストーリーブック002より～
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